ワークショップ「カラーマネージメントフローの実践」(2012-3-8)

2012年3月8日、当法人主催のワークショップ「カラーマネジメントフローの実践」が開催されました。当日の概要報告をさせていただきます。

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【ワークショップ概要報告】

color management 2012年3月8日に開催されたワークショップはNPO法人デジタルヘリテージデザイン理事長である鷲見洋一氏による挨拶から始まった。教育機関でのデジタル化に関するプロジェクトの立ち上げ、その研究の変遷をお 話頂き、デジタルへリテージデザイン設立の経緯を御説明いただいた。そして今回のWSのテーマである色の再現性と重要性についての再確認を提唱された。

次に西山洋介氏(慶応義塾大学附属研究所斯道文庫)より、斯道文庫においてのカラーマネジメント方式と昨今のカラーマネジメントの方式による色再現の検証、そこから浮かび上がった問題点、そして問題意識の共有を目的に発表が進められた。  アーカイブを目的とした資料撮影の際にデジタルカメラを使用するが、そのカメ ラがつくりだす色は種々の要因により様々な再現性を持っている。忠実な色再現を目的に撮影を行う分野では、このような問題は防ぐためカラーマネジメントを実践しているが、その方式によっても色の再現性に差があることが西山氏によって発表された。発表の中ではiccプロファイルとDNGプロファイルが紹介された。検証により前者の方式の方がアーカイブ用途として望ましいとされたが、事実上プロファ イルを制作する製品、手段が失われており、この問題提議と今後新たな方法がないか課題とされた。

上記の問題提起に関して、有識者であるお二人をお呼びしてお話を頂いた。

臼井信昭氏(社団法人日本が像情報マネジメント協会)はまず”色”についてのお話をされた。色の管理や測色は非常に難しい問題であり、色は正確に再現できないものであるゆえ、その問題を前提にどのように将来に残していくのかを長年尽力されてい る規格化のお話を交えながら御説明頂いた。そして完璧なカラーマネジメントを求めると予算も時間も費やしてしまうため、 目的を定めた記録管理とその優先順位を示して実践することがまずが望ましいとお話を頂いた。また色をしっかりと測色されたい場合、分光反射率での測定は有効で利点があることも述べられた。>> 当日配布資料

岡松英二氏(エックスライト株式会社)は測色機メーカとしてのお立場からアーカイブ撮影におけるプロファイルの使用と方法についてお話を頂いた。ICCプロファイ ルとDNGプロファイルのワークフローと特徴を比較しながら製品紹介を含めた利用者が求める色再現方法について御説明を頂いた。アーカイブ用途でのプロファイル を作成すると所謂”ねむい色調”といわれ、写真表現の分野では利用頻度が低いといわれている。実際エックスライト社ではICCプロファイル制作のためのサービスを 終了してしまったが、今後も検討を続けられるとお話をいただいた。>> 当日配布資料

最後にワークショップをとおして、色の再現性についての様々な問題に視点を向け ることができた。デジタルカメラの選別や再現方式の検討も重要であるが、観賞す る環境整備も必須である。このような問題を共有することが大切であり、引き続き 検証と意見交換を続けていきたい。

文責:NPO法人デジタルへリテージデザイン 竹内 涼子